Professor Kimi Kondo-Brown (University of Hawaiʻi at Mānoa)

近藤ブラウン妃美 (Kimi Kondo-Brown)。博士 (教育学)。ハワイ大学マノア校 (ホノルル) 東アジア言語文学科教授 (Dept of East Asian Languages & Literatures, Professor) 。同校の人文学部副学部長 (College of Arts, Languages & Letters, Associate Dean) 兼任。ホームページ(http://www2.hawaii.edu/~kondo/)。評価に関する近年の著書・論文:“Heritage Language Assessment” in S. Montrul & M. Polinsky (Eds.), The Cambridge handbook of heritage languages and linguistics (in print, Cambridge University Press);「海外における継承日本語学習者のための評価」近藤ブラウン妃美・坂本光代・西川朋美()『親と子をつなぐ継承語教育ー日本・外国にルーツを持つ子どもー』(2019, くろしお出版);  “Assessing Japanese writing ability” in C.A. Chapelle (Ed.), The encyclopedia of applied linguistics. Boston, MA;「日本語教育でなぜ評価がもっと注目されるべきか」『日教育与日本学』8, 58‐65. 华东理工大学出版など

 

 


日本語学習者のための評価を考える:ニューノーマルに対応する中で

Assessment for Japanese Language Learners under the New Normal

日本語学習者のために何をどう教え、そして評価すべきか。これは、教師にとって永遠の課題のように思える。どの教師も、学習者のためになる授業を行い、そして学習者にとって公平で、意味ある評価をしたいと願っている。しかし、ある程度軌道に乗った授業・評価をしていても、何らかの事情で思わぬ制限が出て、以前と違う授業や評価を余儀なくされることもある。私たちは今まさに、そのような事態に直面していると言える。新型コロナウイルスの影響で、昨年春より学校や大学で対面授業から遠隔授業への迅速な協力が求められてきた。また、学習者のニーズに応えるために、評価基準・方法も変えなくてはならなくなった(例えば、Jankowski, 2020を参照)。このような「ニューノーマル」に対応する中で、改めて授業のあり方や、評価の仕方について考えさせられたという日本語教師は、多いのではないか。

日本語学習者は、自分の日本語学習に役に立つ評価、つまり自分の日本語能力向上につながる評価を望んでいる。もちろん、日本語教育現場の環境やニーズはさまざまであるし、どのような評価が学習者の日本語能力向上につながるかの判断は、学校や大学によってかなり違うと思う。また、教師が「日本語能力」「日本語習得」「日本語教授法」などについて、どのような考え・信念を持っているかによっても、その教師の行う評価活動や評価結果の解釈の仕方に、大きな違いが出てくる。以前、私は拙著で「日本語教授法や評価法は実に多様で、どの教育現場にもあてはるベストの教え方や評価法はありません。プロの教師は、自分の知識や経験を基に、学習者の置かれている環境の中で、どういう教え方や評価法が一番効果的であるのかを常に判断していかなくてはならない」と述べた(近藤ブラウン, 2012, p. 8)。今回の講演が参加者に、評価の目的や問題点、さらに今後の課題などについて考える機会を与え、今後の評価活動の一助になることを願っている。

引用文献

  1. Jankowski, N. A. (2020, August). Assessment during a crisis: Responding to a global pandemic. Urbana, IL: University of Illinois and Indiana University, National Institute for Learning Outcomes Assessment.
  2. 近藤ブラウン妃美(2012)『日本語教師のための評価入門』くろしお出版