Keynote Speaker

Prof_Inui

乾健太郎(Kentaro Inui)

Mohamed bin Zayed人工知能大学教授、東北大学言語AI研究センター教授、理化学研究所AIPセンター自然言語理解チームリーダー。2023年に本拠をアラブ首長国連邦アブダビに本拠を移し、仙台、東京の3拠点で活動。専門は自然言語処理、人工知能。知識処理の計算モデル化、ニューラル言語モデルの内部機序解明、言語AIの教育応用等の研究に従事。情報処理学会自然言語処理研究会主査、言語処理学会論文誌編集委員長、同会会長、国際会議EMNLP General Chair等を歴任。人工知能学会論文賞、言語処理学会20周年記念論文賞、Google Focused Research Award、文部科学大臣表彰科学技術賞等を受賞。

 

ことばの教育における教員とAIの役割分担の未来

近年目覚ましい発展をとげた生成AIとその中核をなす大規模言語モデルはAIの知的情報処理能力を飛躍的に向上させました。この新しい技術が社会にもたらす変革の可能性について様々な領域で論じられていることは周知の通りです。ことばの教育も例外ではなく、この会議の参加者にも関心をお持ちの方は少なくないと思います。AIの活用を考える上で重要なことの一つは、AIは決して万能でないということへの理解です。万能ではないので、人間の得意分野とAIの得意分野を見定めて、両者の役割分担を上手にデザインする必要があります。本講演では、ことばの教育、とくにライティング教育とその周辺を題材に取り上げ、人間(教員や教育機関)とAI(コンピュータ)の役割分担のあり方を会場の皆さまと一緒に考えたいと思います。前半では、大規模言語モデルよって何がなぜ可能になり、何がなぜ困難なまま残っているかといった、AIの活用を考える上で役に立つ技術的基盤の直観を共有します。後半では、人間とAIの役割分担を考えるための材料として、ライティング評価やフィードバック生成など、現在のAI技術をライティング教育のいくつかの側面に繋げる試みを、講演者の周囲の事例を中心にご紹介します。ことばの教育における教員とAIの役割分担の未来を一緒に考えましょう。